• 2023年6月28日

健康診断で「血圧高値」を指摘されたが・・・

1.高血圧の診断基準について教えてください!

 

2.ただちに治療を開始すべき状態ですか? まずは家庭血圧を測りましょう!

血圧には、(1)健診や病院・クリニックなどで測る診察室血圧、(2)自宅で測る家庭血圧、(3)特殊な機器を用いて1日通して測る24時間血圧の3つがあります(図1左)。今回、健診で「血圧高値」を指摘されていますが、緊張状態で測定すると血圧は高くなる可能性があります。健診の血圧高値=自宅での血圧高値であるとは限りません。

図1右に示すように、診察室血圧値と比べて、24時間血圧値や家庭血圧値の方が、心血管死との関連性が高い=予測能に優れています。24時間血圧測定は特殊な機器が必要となります。そのため、まずは家庭血圧を測定いただき、環境・時間に関係なく血圧高値が続いているかを評価することが大切です。

図1.血圧測定法(診察室血圧・家庭血圧・24時間血圧)と心血管死亡率との関係

 

3.家庭血圧が高値の場合には、治療が必要です! 

診察室血圧、家庭血圧のそれぞれの血圧値を「正常」「高値」で分類すると、4つのグループに分けることができます(図2)。

 1.非高血圧(診察室 正常・家庭 正常)

 2.白衣高血圧(診察室 高値・家庭 正常)

 3.仮面高血圧(診察室 正常・家庭 高値

 4.持続性高血圧(診察室 高値・家庭 高値

診察室血圧が高くても家庭血圧が正常な「白衣高血圧」では、脳心血管疾患の発症リスクが高くなく、降圧薬による治療の必要性は当面ありません(将来的に、治療が必要な高血圧に進展する可能性あり)。一方で、診察室血圧が正常であっても、家庭血圧が高い「仮面高血圧」は、「持続性高血圧」の方と同じくらい脳心血管疾患を発症しやすく、治療が必要となります。つまり、健診などの診察室血圧測定の有無に関わらず、定期的に家庭血圧を測ることが脳心血管疾患の発症予防に重要といえます。

図2.4タイプの高血圧 と 脳心血管疾患リスクとの関連性

   

4.自宅での正しい血圧測定方法について教えてください!

家庭で使用する血圧計は、上腕にカフを巻くタイプが推奨されています。手首式血圧計では、カフを巻く血管の太さや硬さの影響から上腕とは異なる血圧値が表示される可能性があります。

血圧は変動しやすいため、毎日同じ時刻に測定します。朝と夜にそれぞれ2回測定し、平均値を記録いただきます。できる限りリラックスした環境で測ることが重要であり、食事や入浴の直後は避け、排尿や排便をすませた後座位で測定してください。また、職場やストレス状況での血圧を測定し、血圧が安定しているか確認しましょう。

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