- 2023年9月18日
- 2023年12月17日
食事療法③:グリセミック・インデックス
1.グリセミック・インデックス(GI)とは
グリセミック・インデックス(GI)は、食事(炭水化物:食物繊維を除く糖質 50g)を食べた後の血糖値上昇の度合いを数値化した指数です。糖質の吸収速度を反映しています。ブドウ糖(GI=100)を基準として、GI値が70以上を高GI食、56から69を中GI食、55以下を低GI食に分類されます。GI値の低い食品を摂ることで食後血糖値を抑えることが期待できます。
図1.グリセミック・インデックスの概念
2.グリセミック・ロード(GL)とは
食事療法にGIを応用する場合には、実際の食事量を想定していない点に注意する必要があります。GI値の概念では、1回の食事で にんじん5本(炭水化物50g)を食べた場合に、食後血糖上昇について他の食品と比較できるようになります。しかし、1回の食事で「にんじん」を5本食べることは非現実的です。そこて考案されたのが、1回に食べる量を想定して食後血糖上昇の度合いを数値化したグリセミック・ロード(GL)です。GL値は、「食品中に含まれる炭水化物量(g)× GI値 ÷ 100」で求めます。GL値が20以上を高GL食、11から19を中GL食、10以下を低GL食に分類します。図2に示すように、「かぼちゃ」は高GI食(GI値 75)ですが、1回の摂取量が 100gの場合には、GL値は3(低GL食)となり、食後血糖の上昇は軽度です。一方で、低GI食であっても、摂取量が多くなることで高GL食となり、食後高血糖を来すこともあります。
図2.グリセミック・ロード値の一覧表
3.GL値が食後血糖上昇と相関する
図3は、平均年齢43.5歳、BMI 29.1の肥満者を対象に、1)高GI(グリセミック・インデックス)・高炭水化物食、2)高GI・低炭水化物食、3)低GI・高炭水化物食、4)低GI・低炭水化物食を摂取した際の食後血糖およびインスリン濃度を検討した研究です。GI値と炭水化物量から計算されたGL(グリセミック・ロード)値が、食後血糖値AUC、食後インスリン値AUCと相関しています。日常生活において、食事の度にGL値を計算することは煩雑です。過去のブログ:食事療法①と②でお話ししたように、GI値が高く、1回で多くの糖質を摂取してしまう穀物・野菜類(白米・麺類・パン・いも類)、フルーツ、お菓子(砂糖)、ジュースなどの過剰摂取に注意することが重要です。
図3.GI値・炭水化物量の違いによる食後血糖・インスリン濃度の違い