• 2023年12月7日
  • 2023年12月17日

運動療法④:有酸素・レジスタンス運動の計画の立て方とは!

[有酸素運動]  糖尿病治療ガイド 2022-2023(日本糖尿病学会 編) 

 ・運動強度:一般的には中等度(3Metz:安静時代謝量の3倍に相当する運動)の有酸素運動が推奨されます。中等度は、最大酸素摂取量(VO2max)が 50%前後の運動を示し、運動中の心拍数で判断すると分かりやすいです。50歳未満では 100~120拍/分、50歳以上では 100拍/分未満が目安となります。ただし、不整脈や自律神経障害、脈拍を抑える薬剤を内服されている方は脈拍で評価することが難しく、「ややきつい」と感じる体感を目安にしていただければと思います(図1)。

 ・運動時間:20分以上 継続して実施

 ・頻度:中等度で週に150分以上(週3回以上、運動しない日が2日間以上続かないようにする)

 [具体例]:ウォーキングを1回15~30分間、1日2回、目安は約1万歩程度


[レジスタンス運動(筋力トレーニング)] Diabetes Care 2016; 39: 2065-2079.

 ・運動強度:上・下半身を含む8~10種類のレジスタンス運動を、10~15回/セットを行える運動強度(中等度)で1~3セット 実施する。その後、中等度の強度に慣れてくるようなら、8~10回/セットを行える運動強度(高度)に変更していく。

 ・頻度:1日あけて週に2~3回 実施する

 次の病態を有する方は、運動に注意する必要があります。重度の糖尿病網膜症(増殖網膜症、硝子体出血を有する方)、高度の糖尿病腎症(3B期以降)の方は、合併症が増悪する可能性があることから運動は控える必要があります。また、高度の糖尿病自律神経障害がある方は、運動中の無自覚性低血糖や低血圧の危険性があり注意が必要です。重篤な不整脈や虚血性心疾患で治療中の方は、運動誘発性不整脈や無症候性心筋虚血を起こす危険性もあり、心臓リハビリを専門とする医院・病院での運動療法が推奨されます。

 日中の気温差が大きくなる冬は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。特に、温かい自宅から寒さのきびしい早朝に外に出た際に、急激に血圧が上昇することが要因の1つと考えられます。日が昇って地面が温まる昼頃から、外での運動を始めていただければと思います。

 定期的な運動を行うことは健康によいだろうけど、なかなか平日に時間がとれない方も多いのではないでしょうか。定期的運動(週3回以上の運動)でなくても、週1~2回の運動でもあっても 全死亡・心血管死亡・癌死リスクが軽減することが報告されています(図4)。週末に家族との散策や子供さんと一緒に体を動かして遊ぶなど、運動時間を設けることが健康に繋がると考えらます。



次回は、運動中の低血糖を予防するために推奨されている対処法について解説したいと思います。

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