• 2023年10月1日
  • 2023年12月17日

食事療法④-2:1食の食べ方(レジスタントスターチ)

レジスタントスターチとは

 私たちが食事から摂取する炭水化物(デンプン)の多くは、消化酵素(アミラーゼ)により単糖類まで分解されて小腸から吸収されます。しかし、デンプンの一部には食物繊維と似て「アミラーゼによる消化を受けずに大腸まで到達する」デンプンが存在し、この難消化性デンプンをレジスタントスターチ(RS)と呼びます。RSの約10%が小腸で分解され、残りの90%のうち50%が大腸で発酵・分解され、40%が糞便中へ排泄されます。RSには、①整腸作用(腸内細菌叢・便量/便性の改善)、②食後血糖改善作用、③血清脂質低下作用、④内臓脂肪減少作用などが知られています。特に、①整腸作用、②食後血糖改善作用については、特定保健用食品の関与成分として認められています。

 RSは、物理的、化学的性質から RS1からRS4の4つに分類されます(図1)。特にRS3は、調理されたデンプン食品(炊き立てご飯)を冷却する(冷やごはん)ことでRSが生成され、小腸で吸収される糖質量が減少します。RSの形成に至適な温度は 0℃から4℃であり、時間をかけて冷やすことでRS量は増加します。宮城教育大学の亀井文先生の研究からは、炊き立てご飯を室温で1時間冷ますことでRS量が増えています(図1A)。


図1.レジスタントスターチ(RS)の種類・性質・食品中の例  A)国産米・B)インドネシア米における温度とRS量の変化



 ”炊き立てご飯” を 冷ましてRS量が増えた “冷蔵ご飯” に変更することで、食後血糖上昇を抑制できるのかを検討した報告を紹介します。対象者は1型糖尿病患者さんで、”冷蔵ご飯”は、炊き立てご飯を 4℃で24時間冷蔵し、試験前に再加熱(電子レンジ)しています。”冷蔵ご飯” で食後血糖の上昇が有意に抑制されています(図2)。24時間4℃で冷蔵したご飯は、再加熱しても RS量の喪失は少なく、効果的であるといえます。
 ※私が文献を検索(PubMed、医中誌)する限りでは、常温(室温)で冷ました “冷蔵ご飯” が 食後血糖の上昇を抑制した研究報告を見つけることができませんでした。


図2.”炊き立てご飯” と “冷蔵ご飯(レンジで再加熱)” の食後血糖への影響

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